色は脳で見る
色情報は役に立つ
多くの人々にとって見えるということは日常的に当たり前のことです。しかし、もし見ることができなかったら、どんなに不便かを想像することもそう難しいことではありません。目を閉じることによって、見えない世界を体験することもできる。正常な視覚を持つ多くの人々にとって、見ることなしに、対象物を知り、その位置関係、その動きなどを判断することは容易ではないでしょう。マガーク効果では、耳で聞いた音声と目で見た唇の動きが合わないとき、人は目で見た唇の動きから音声を判断します。この例でも分かるように、人の日常生活は視覚に大きく依存しています。
視覚の中で、色は役に立つ要素のひとつです。日常生活の中で魚の眼の色で鮮度を見分けたり、サンマの口先の色で油の乗りを見分けたり、野菜の葉先の変色で鮮度を見分けるときも、色情報は役立っています。絵画を楽しむときも色がなければその楽しみは半減します。また、地下鉄の路線図やデータ・シートを色分けすることで日常の判別を容易にしています。交通信号も色で指示を与えます。このようにヒトは色の情報を様々な場面で用いています。
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色は視覚刺激のいろいろな特徴の中で、目立つ特徴です。Gegenfurtner と Rieger( : Sensory and cognitive contributions of color to the recognition of natural scenes. Current Biol. 10, 805-808, 2000.)は、ヒトを被験者として遅延見本あわせ課題をテストすると、色のついた写真の識別と記憶は、モノクロ写真の識別や記憶よりも良い成績となると報告しています。。色のついた写真の方が反応時間も短縮します。 八木冕らの報告(ニホンザルの"色・形問題" I -孤立項選択問題による検討- Ann.. Animal Psychol. 24 : 87-96, 1974)によれば、ヒトと同じ色覚を持つニホンザルやアカゲザルの属するマカカ属のサルは形の識別課題よりも色の識別課題の方が成績を出します。一方、色が目立つことを利用して、捕食者から身を守る動物もいます。保護色の動物は、色や色のパターンを似せることで、わずかな明るさの違いが作り出す輪郭を見えにくくしています。このような条件では、捕食者にとって色の見えることが不利になっています。
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光は波の性質を持ち、その周波数は連続的です。色はある周波数範囲の光の周波数を動物が見分けるときに脳が行う巧妙な処理のひとつです。虹色をはじめて7色に分けたニュートン(Newton I : Optics (Based on the 4th (1730) edition). Dover Pub. Inc. NY, 1952.)は「光線には色はない」という名言を残しました。これは、色は物理世界の存在するのではなく、波長の違いを脳が色として見る。言い換えは、「色を見るのは脳である。」という意味です。
一般にヒトは外の世界を自らの感覚器官を通して受容します。受容した結果をどのように知覚しているかは本人でなければ分かりません。しかし、視覚の中で視覚情報の空間的配置や位置の変化や形は外の世界に客観的に存在するので、自ら外の世界へ働きかけその結果をフィードバックすることによって、外の世界と矛盾しない知覚像を脳内につくることができます。一方、色の場合は外の世界にあるのは光の波長の相違でありその変化は連続的です。色は主観的なものであり、脳で見た色が正しいかどうか、見えている色が他人と同じように見えているかどうかを日常的に確かめるには「ことば」でフィードバックする以外にありません。それでも、光の波長と検出の閾値や、応答の特性との関係から色覚を客観的に調べ ることは可能です。
色情報の抽出過程
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網膜には光を神経細胞が扱う電気信号に変換する視細胞があります。視細胞には形態の異なる、杆体(かんたい、高校の教科書では棒細胞)と錐体(すいたい、高校の教科書では円錐細胞)があります。杆体は光感受性は非常に高いが光に感受性を持つ物質(視物質)は一種類しかありません。一方、ヒトやアジア、アフリカに住むサルの網膜の錐体は普通3種類あって、短波長(青)視物質、中波長(緑)視物質、長波長(赤)視物質のうちいずれかを持っています。サルやヒトが色を見ることができるのはこの3種類の錐体の活動の違いによって光の波長を区別できるかれです。網膜のレベルでは赤と緑の組み合わせから黄が検出され、大脳皮質でさらにいろいろな色味の抽出が行われます。
視物質遺伝子の話
ヒトの目が色を検出できるのは、網膜の錐体が持つ視物質の働きによります。ヒト視物質遺伝子の解析によれば、L(赤)およびM(緑)視物質遺伝子は相同性が高く、364個のアミノ酸配列のうち15個のアミノ酸が違うだけです。L、M視物質遺伝子はともにX染色体上にL、Mの順にタンデムに並んで配列します(図1)。約6割のヒトがM視物質遺伝子を2個以上持つタンデムリピート構造を持ちますが、最初の2つのいずれかが転写されるので、正常色覚となります。L、またはM視物質遺伝子の欠損による色盲は、ヒト男性の約2%存在しますが、これはL、M視物質遺伝子のこのような構造に起因し、減数分裂時に不等交差が生じ視物質遺伝子の欠損が起こるためと考えられます。さらに、不等交差や遺伝子変換により、MとL視物質遺伝子の ハイブリッドができ、その転移部位に視物質の吸収波長特性に作用する遺伝子部分が含まれると、色盲や色弱を引き起こします。一方、S(青)視物質遺伝子は7番目の常染色体にあり、その欠損はまれです。
図1 ヒト、チンパンジー、サルのL、M視物質遺伝子の配列
A. 正常色覚。aはオス、bはメスの場合。B. 多コピーを持つが最初の2つが転写されるため正常色覚(ヒトでは66%、カニクイザルでは5%、チンパンジーでは6.9%)。C. aはハイブリッド遺伝子の吸収波長がMに近く実質的はL欠損に相当する色弱、西アフリカから来たチンパンジーの「ラッキー」はこのタイプ。bとcはハイブリッド遺伝子の吸収波長がLに近いため実質てきはM欠損に相当する色弱。D. aはMを欠損する色盲、bはLを欠損する色盲。インドネシアのパンガンダランで発見した色盲カニクイザルはこのタイプ。
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